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なおこ心理相談室BLOG 〜札幌近郊カウンセリングルーム〜

子どものうつ病

皆様、こんにちは。

 

札幌市近郊恵庭市のカウンセリングルーム「なおこ心理相談室」の臨床心理士の足立直子です。

今日の恵庭はシトシト雨模様です。
一気に気温が下がっています。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。

今回は子どもの自殺の背景になる‘子どものうつ病’について、考えてみたいと思います。

 

子どものうつ病は、大人とは症状の出方が少し異なります。

子どものサインに気付いてあげるヒントになればと、以下を記します。

 

<症状>
うつ病の根底に、強い抑うつ気分と自暴自棄の気持ちが隠れていることによって、以下の様な症状があらわれやすいと言われています。

 

(行動面)

・元気がない
・疲れやすい
・イライラする
・落ち着きなく動き回る
・何をするのも億劫になる
・話さなくなる
・やらなければならないことが出来ない
・面倒くさがる
・集中力の低下
・次の行動を考えることが出来ない
・少しでも楽しい気分になりたいために派手な服装をしたり、夜遊びをしてしまったりする

 

大人のうつ病であれば、抑うつ感が強く、普段よりも大人しくなるイメージが強いと思われますが、
子どもの場合には、「イライラ」や「落ち着きのなさ」も考慮してあげる必要があります。

更に子どもの場合には、大人よりも言葉で気持ちを表現しきれないために、
行動面や次に記す身体症状が目立つのが一つの特徴です。

 

(身体的症状)
・食欲がない
・体重が減った、望まれるべき体重増加がない
・腹痛・頭痛
・食べ過ぎてしまう、体重が増えた
・眠れない
・いつまでも眠っている

 

うつ病といえば、不眠に食欲低下と思われがちですが、
過眠や過食もその症状であることを知るのも、大切なポイントです。

 

~医療機関受診の目安~

以下のことが2週間以上続く

<今までは楽しくやれていたことが苦しいと感じている時>

・学校に行くことが辛くなる
・仲のよい友だちとも付き合いたくない
など

<生活に支障をきたした時>
朝起きられない、夜眠れない日が続く

朝起きられない、夜眠れない日が続く

 

 

~早目に医療機関の受診が望まれる時の目安~

 

・死に関することを考えている時
(「死んだらどうなるのかな」「どんなことをすると死ぬのかな」など)

・自己肯定感が非常に低い発言が目につく時
「自分はダメだ」「自分は悪い子なんだ」「もうどうしようもない」など

 

 

~医療機関の受診の仕方~

児童期のお子さんであれば、まずは小児科で相談するのもよいでしょう。
思春期以降のお子さんであれば、精神科を受診します。
身体症状がある場合は、内科で検査が必要な場合もあります。
精神科での診断は、妄想・幻聴などがあらわれる「統合失調症」との鑑別も大事になってきます。

統合失調症は思春期からの発症が多く、
初期のの症状として、抑うつ症状が現れることが多いので、
専門の精神科を受診することをお勧めします。

発達の問題が隠れていそうな場合には、児童精神科医の受診をお勧めします。

なかなか専門的なことは分かりにくいと思いますので、
お子さんが在籍している学校にスクールカウンセラーがいる場合には、相談してみるのも一法です。

 

では、子どものうつ病を誘発する出来事とはどんなものでしょうか。

~子どものうつ病を誘発するもの~

1)喪失体験(身近な人やペットの死、友だちの引っ越しなど)
2)不安(友だちと上手くいかない時、成績がなかなか上がらない時)
3)怒りの抑圧(自分は悪くないのに怒られたなど)

こういう出来ごとは大人でも憂うつな気分になりますね。

ゆっくり休んだり、家族や友達に話すことで解消されます。

日頃から不安になったり、イライラしたりしている子どもの気持ちに耳を傾け、共感する姿勢が抑うつ気分の解消に効果的です。

 

これはうつ病の予防という観点からも大事なことです。

 

では、具体的に子どもに接する時の注意点はどのようなものでしょうか。

以下、具体的な方法です

①ゆっくり休ませる

子どもが憂うつそうにしている時に、
すぐに悩みを聞き出そう、解決しようとあれこれ口を出すのは控えて、まず休息をとらせてあげましょう。

普段真面目で成績優秀な子が、勉強が手に付かず成績がふるわず、落ち込んでいたら、
「もっと勉強しなさい」と励ますよりも、ゆっくり休むことを勧めるのが良いでしょう。

また塾や部活、習い事などは一時休ませ、
早目に下校させるなどの配慮も必要になる場合があります。

 

②共感的な対応

ゆっくり休ませた上で子どもの話に耳を傾けてあげましょう。
子どもの感情を受け止めてあげ、
イライラして友人とトラブルを起こしても、
そのことを責めずに、「なぜそうしてしまったのか」という理由を聞き、
共感したうえで、対処方法を一緒に考えてあげるのも一法です

 

③安心出来る環境作り

「○○学校に受からないと将来大変!」「勉強しないと大変になる!」などと不安をあおらないことが前提です。
気持ちが落ち込んでいる時には、その子どもの出来ているところを見つけてあげて、褒めてあげると安心しやすく、自信が育まれるでしょう。

 

④薬物療法

環境を変えてあげても症状が改善しない場合は、薬物療法も大切です。
専門の精神科の先生と話し合いながら、納得して飲み始められることが望まれます。

 

 

すべての子どもが健やかに育つことを祈って。

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