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なおこ心理相談室BLOG 〜札幌近郊カウンセリングルーム〜

ねこのごんごん 大道あや(作)

皆様、こんばんは。

 

札幌市近郊恵庭市のカウンセリングルーム「なおこ心理相談室」の臨床心理士の足立直子です。

 

恵庭では気温が上がりながらも、荒天で、雪が解けて更に凍ってツルツル路面です。
足を滑らせながらヒヤヒヤしながら歩いています。
皆様、ケガなどは大丈夫でしょうか。

 

今日は「ねこのごんごん」大道あや(作)という絵本を皆さまと味わってみたいと思います。

 

この絵本の作者は大道あやさんです。
大道あやさんは、60歳を過ぎてから絵を描き始めたという異色の絵本作家さんです。
20年程前でしょうか、絵本の雑誌MOEに紹介されていたのを見て、その絵に興味をもって、いつか絵本を読んでみたいと思っていました。
先日恵庭市立図書館で、猫の本のコーナーが設けられており、ふと見ると大道あやさんの「ねこのごんごん」の絵本を見つけました!
早速借りて、家で読んで、その絵だけではなく物語にも引き込まれました。

 

 

あらすじをざっと書きますね。

 

ねこの‘ごんごん’は、じぶんの家も分からない、じぶんの名前も分からない小さな猫です。
‘ごんごん’がお腹を空かせて歩いていると、人間でいえば98歳くらいの年寄猫の‘ちょん’に出会います。
‘ちょん’と知り合ったことで、‘ごんごん’は名付けられ、そして‘ちょん’の家に飼われることになります。

‘ちょん’は‘ごんごん’に色々なことを教えてくれます。
いつも「なにごとも じぶんでおぼえるがかんじん わかったか」と言います。
‘ごんごん’は色々なことを教えてくれる‘ちょん’を慕い、いつもついて歩きます。
しかし年寄猫の‘ちょん’は寿命がきて死んでしまいます。
しばらく‘ごんごん’は指南役を失い、どう生きていけばよいか困り果てます。
そこで「なにごとも じぶんでおぼえるがかんじん わかったか」という言葉を思い出します。
‘ごんごん’はどうしたらよいか、自分で考えることにしました。
その結果、飼い主のおばさんに「いいねこだ ‘ちょん’のあとつぎだ」と認められるのです。

 

 

以下は私の感想です。

 

‘ごんごん’はある意味では、自分のアイデンティティをまだ培う前の、自分というものがはっきりとしない発達段階にあると思われます。
そこで、自分を名付けてくれる先輩と出会います。
名付けてもらったものの、まだまだ中身が充実しません。
他人から与えられたものだけでは、真には自分らしく成長できないのでしょう。
しかしその与えられた器を、ごんごんは、ちょんから色んなことを教えられ、自ら実践するなかで、充実させていきます。
そしてごんごんは、‘自分’を作っていったものと思われます。
‘ちょん’は年老いて死にます。
‘ちょん’が死ぬことで、ごんごんは自らを見失ったようになりますが、‘ちょん’が生きている間に培ったもので、もう‘自分’が出来ており、
飼い主のおばさんから‘ちょんのあとつぎ’と認められるまでになります。
‘ちょん’は自らが培ったものを‘ごんごん’に伝えることで、まさに次の世代に命を受け継いだのだろうと思います。

 

こんな風にこの物語は一人の人間のアイデンティティの獲得過程というふうにもみられるものと思いました。

 

きっともっともっと違う見方もあるでしょう。

 

皆様はどんな物語が心に残っていますでしょうか。

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