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なおこ心理相談室BLOG 〜札幌近郊カウンセリングルーム〜

ネット依存・ゲーム依存について②

札幌市・恵庭市・千歳市・苫小牧市・北広島市・江別市の公認心理師/臨床心理士によるカウンセリングルーム「なおこ心理相談室」の足立直子です。

先日のブログではネット依存・ゲーム依存の状態について概観しました。
今日は病院に受診したら、どのような治療が受けられるのかを皆様とみていきたいと思います。

病院ではICD-11の診断ガイドラインにそって、ネット依存・ゲーム依存の知識や治療の流れを解説します。
まずは問診です。ここでは医師が本人に口頭で日頃の様子を質問します。補助的に公認心理師/臨床心理士が質問することや、家族が答えることもあります。
問診が終わると、検査に移ります。検査は血液検査、骨密度検査、脳画像検査、その他に心理検査を受けることを勧められる場合もあります。
病院の検査は、その病院によって異なりますが、問診・検査ともに、一回で終わることはなく、何度か実施して、詳しく調べていきます。

この問診・検査の段階で、うつ病が併発していることが分かったり、発達障害が根本にあることが分かってくる人もいます。
その他に対人関係の不安が強くなる社交不安障害など、不安障害の併発がみられる場合もあります。
うつ病、不安障害の併発がみられた場合はその治療もおこないます。
この場合には薬物療法がもちいられることもあります。

ここで一つトピックスとして発達障害の人はネット依存・ゲーム依存になりやすいのか?ということを考えてみたいと思います。
発達障害の人は対人関係が苦手だったり、衝動性を抑えることが苦手だったりします。
そのためにストレスをためやすく、発散しにくいためにネット依存・ゲーム依存を悪化させる要因となることがあります。
しかし発達障害の人が必ずしも依存になりやすいとは限りません。
発達障害は悪化につながる一因にはなりますが、依存にはほかにも生活環境などさまざまな要因が関わっています。
依存の治療と並行して療育などで対策をとっていくことで、充分に対処可能だと考えられています。

問診・検査を受けることで、依存の程度が分かってきます。
その依存の程度にしたがって、治療が行われることになります。
治療は特効薬はなく、カウンセリングが中心です。本人が「治したい」という意欲をもち、家族や医師とともに歩んでいく必要があります。
最初の段階としては医師や公認心理師/臨床心理士と対話をし、依存を自覚する段階があります。
ネット依存・ゲーム依存の治療ではカウンセリングが定期的に行われます。
カウンセリングによって病気を理解し、治療に取り組んだら、再度カウンセリングを受け、体調や心境、生活の変化などを確認する…という流れになります。
そして本人が依存を少し自覚できてきたら、どの程度依存しているのかを行動記録をとって、確認していきます。記録は本人が自分でとります。この過程をモニタリングと呼びます。
モニタリングによって、依存の程度が具体的な情報となり、本人の病気への理解が深まります。
そして確認された内容にそって、次は認知行動療法がおこなわれます。認知行動療法とは認知(考え方)と行動を見直すという治療法です。
これまでの考え方や行動を確認し、具体的な対策をとっていくという実践的な手法です。
具体的にはネットやゲームに対する考え方を医師や公認心理師/臨床心理士とともに確認し、見直していきます。
そして考え方の見直しと合わせて、実際の行動も見直していきます。ネットやゲームの利用方法を具体的に考えるのです。
具体的にはジョギングや水泳などの運動をとりいれたりもします。
依存によってあまり身体を動かしていない人はこれにより基礎体力がつき、健康的に生活することができます。
これによりストレス発散することができると、ネットやゲームにのめり込むことを抑えることもできます。
また集団精神療法を受ける選択肢もあります。
当事者が集まり、グループで話し合うことで、医師や家族とは違う視点で、依存から抜け出すヒントをつかめることがメリットとなります。
当事者ならではの話や率直な気持ちを聞くことが出来ます。
そして家族は家族会に参加することもできます。
家族も、当事者ならではの話を聞き、共感することが出来、気持ちの安定にもつながります。
家族会で理解したことにそって、本人との接し方を調整することもできるようになります。
特別な治療法として治療キャンプというものがあります。
ネットやゲームから離れて、数日間の合宿を行うというキャンプ形式の治療です。
この治療法では参加後にはネットやゲームの利用時間が減っているという実績があります。
ネット・ゲームへの依存が重症化し、通院治療では回復が見込めない時には、入院治療が行われることがあります。

以上のような治療が病院で受けられる治療です。
全ての人がネット・ゲームと適切な関わりがもてるようになるように願っております。

→ご予約

なおこ心理相談室
公認心理師/臨床心理士 足立直子

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