札幌市・恵庭市・千歳市・苫小牧市・北広島市・江別市の公認心理師/臨床心理士によるカウンセリングルーム「なおこ心理相談室」の足立直子です。

今日の恵庭は雪が降って、風も強く、とても寒い日です。
路面もツルツルで滑りやすいです。
皆様、足元にはお気をつけください。

今日は自閉スペクトラム症の人の支援方法について皆様とみていきたいと思います。
そこで一つ注意点ですが、「支援方法」と銘打ったとしても、「この方法が絶対に良い!」という方法はありません。
やはり個々の状態に合った支援がベストです。
支援方法の基本は、「一人一人に合わせた柔軟な治療プログラムの作成と、当事者とご家族の同意と協力」だと私は考えています。

ただ、漠然とそう言っても、
「では、どうすれば?」と思うところですね。

まず大切なことは、支援方法を作成する際に、
○丁寧に発育歴を聴き取ること
○知能検査や、行動の観察などで当事者の得意・不得意を的確に把握すること
が必要です。

当事者の得意・不得意が分かったら、ご家庭や学校の状況を聞きながら、実践できる方法を当事者やご家族と考えていきます

その時に基本となる考え方の一部を今回はご紹介したいと思います。
(今回ご紹介するのはほんの一部です。これだけで全てが解決するわけではありません)。

視覚化する
自閉スペクトラム症をもつ人たちの多くは、視覚認知(目で見て物を理解する能力)に長けています。
反対に聴覚認知(聞いて物を理解する能力)には苦手さをもつ人が多くいます。
そこで、日常生活の中で習慣にしてもらいたいことがあった場合などには、この「視覚化」という方法が役立つ場合が多くあります。
「視覚化」とは、絵カードや、言葉を書いたカードを用いる手段です。

例えば、トイレの使い方を身に付けてもらいたい場合を考えてみましょう。
まず「ズボンやスカートをおろす」という絵を描いたカードを作ります。
次に「便座に座っている人」の絵のカードを作ります。
次に「トイレットペーパーを出す」絵のカードを作ります。
※トイレットペーパーの量が分かりにくい場合は、「点線を5個まで」などと量も視覚化した方が良いかもしれません。
次に「お尻を拭いている」絵のカードを作ります。
次に「ズボンやスカートを履いている」絵のカードを作ります。
最後に「水を流す」絵のカードを作ります。
これらのカードを一枚ずつ上から下に貼っていくことで、「やること」と「順番」を自閉スペクトラム症の人たちに理解してもらいやすくなります。

もし言葉を理解することが出来る人であれば、絵カードではなく、言葉で書くことでも可能です。

空間を一人一人が認識しやすいように整理する
これは、自閉症スペクトラム障がいだけではなく、ADHDの人などにも役立つ方法です。
通常発達の子どもたちの場合、ある程度散らかっている部屋の中でも、
注意散漫になることなく、生活できることが多いと思います。
しかし、自閉スペクトラム症の人や、ADHDの人の場合、散らかっている部屋であると、「いつもの場所に、いつもの物がない」ことに非常に戸惑ったり、「どこに注意を向けてよいか分からず、全ての物に注意を向けてしまい、結果として落ち着かなくなり、多動になる」などのことがみられます。

そのため、部屋を出来るだけ整理し、「この玩具は、この箱に入れる」という決まりを作り、遊んだ後は片付ける習慣をつけることが役立つことがあります(遊んだ後の片付けは、先の視覚化の方法を用いることが役立つことがあります)。

また自閉スペクトラム症の人たちは、「限りないだだっ広い場所」なども苦手とすることがあります。どこに注意を向けたら良いのか戸惑ってしまうようです。
そのため、例えば草むしりの仕事などの場合には、フラフープなどを用いて「まずこの場所の草むしりをしよう」と提示すると、課題に取り組みやすくなります。

ご褒美を上手に使う
これは、通常発達の子どもたちにも言えることですが、例えば②の玩具のお片付けが上手に出来た時に、その子どもに応じた「ご褒美」を与えることで、望ましい行動が身に付きやすくなります。
その子どもによって、「お母さんに褒められること」「チョコレートをもらうこと」「シールを1枚もらって、10枚たまったらミニカーを買ってもらえること」…、など違ってくると思いますので、ご褒美は柔軟に決める必要があります。

他にも多々、色々な方法を一人一人に応じて考えていくことが大切です。
あくまでも「柔軟に、一人ひとりに応じた方法を」です。
以上、支援のほんの一部をご紹介いたしました。
少しでも生活のヒントになれば幸いです。

障がいがあっても、
一人一人が輝いて生活できますように。

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