皆様は「忘れてしまった記憶」は、その後どうなると思われますか?

「忘れてしまったら、脳からその記憶は、すっかり消えているでしょう」
そうお考えになる方も多いのではないでしょうか。
しかし実際には、「忘れる」というのは、「思いだせなくなっている状態」であり、その痕跡は脳に残っているらしいのです!

 

 

そのため専門家たちは、忘れられた記憶について、「忘去」や「消去」とは言わずに、「消去記憶」と呼ぶらしいのです。
つまり「古い記憶を思い出せないようにするための‘記憶’が新たに書きこまれた」ということなのです。
「忘去」とは、脳にとっては、「記憶の貯蔵庫にアクセスするな!」という積極的な行動とみなされるのです。

 

次に、「ボーっとしている状態」について、皆様と考えてみたいと思います。

 

私はよく学生時代にボーっとしてしまい、友人が笑いながら、私の目の前で手を振って、我に帰らせてくれることがありました。

そして私もボーっとしている友人を、我に帰らせていました(笑)

 

このような、脳の現象として、「ボーっとしている」状態は、
脳が怠けている状態だから、活動は低下しているだろう、と思われがちですが、
実際は休んでいるのではなく、エネルギーを積極的に消費して、「ボーっとしている状態」をわざわざ作り上げているのです。

この状態を「デルフォルトモード」と呼びます。

 

さて、この「デルフォルトモード」は、単なる怠慢でないのだとしたら、一体どんな意味があるのでしょうか?
残念ながら、生物学的な意味はまだ分かっていません。

しかし医療現場や製薬業界から、注目を集めています。
てんかんやこん睡状態では、デルフォルトモードの調和が乱れていることが分かりました。
アルツハイマー病、うつ病、自閉症、統合失調症、慢性疼痛などでも、独特なデルフォルトモード活動が生じているため、
病状の判断に使えると提唱されています。

 

デルフォルトモードが、脳の怠慢ではなく、脳の健康と関係しているという視点はとても刺激的ですね!

 

デルフォルトモードの研究が、様々な病気の治療に役立ち、病気で苦しんでいる方々の助けになることを祈っています。