14Oct
皆さま、こんにちは。
札幌市近郊恵庭市の臨床心理士によるカウンセリングルーム「なおこ心理相談室」の足立直子です。
こちら恵庭は今日は雨です。
朝晩はめっきり寒くなりました。
日も短くなり、まさに秋の夜長です。
急に冷え込みましたので、皆様、風邪など大丈夫でしょうか。
今日は過去記事より‘脳のデフォルトモード’について、少し書き加えて再度掲載したいと思います。
さて皆様は「忘れてしまった記憶」は、その後どうなると思われますか?
「忘れてしまったら、脳からその記憶は、すっかり消えているでしょう」そうお考えになる方も多いのではないでしょうか。
しかし実際には、「忘れる」というのは、「思いだせなくなっている状態」であり、その痕跡は脳に残っているらしいのです!
そのため専門家たちは、忘れられた記憶について、「忘去」や「消去」とは言わずに、「消去記憶」と呼ぶらしいのです。
つまり「古い記憶を思い出せないようにするための‘記憶’が新たに書きこまれた」ということなのです。
「忘去」とは、脳にとっては、「記憶の貯蔵庫にアクセスするな!」という積極的な行動とみなされるのです。
次に、「ボーっとしている状態」について、考えてみたいと思います。
私はよく学生時代にボーっとしてしまい、友人が笑いながら、私の目の前で手を振って、我に帰らせてくれることがありました。
そして私もボーっとしている友人を、我に帰らせていました(笑)
このような、脳の現象として、「ボーっとしている」状態は、脳が怠けている状態だから、活動は低下しているだろう、と思われがちですが、
実際は休んでいるのではなく、エネルギーを積極的に消費して、「ボーっとしている状態」をわざわざ作り上げているのです。
この状態を「デルフォルトモード」と呼びます。
さて、この「デルフォルトモード」は、単なる怠慢でないのだとしたら、一体どんな意味があるのでしょうか?
残念ながら、生物学的な意味はまだ分かっていません。
しかし医療現場や製薬業界から、注目を集めています。
てんかんやこん睡状態では、デルフォルトモードの調和が乱れていることが分かりました。
アルツハイマー病、うつ病、自閉症、統合失調症、慢性疼痛などでも、独特なデルフォルトモード活動が生じているため、
病状の判断に使えると提唱されています。
デルフォルトモードが、脳の怠慢ではなく、脳の健康と関係しているという視点はとても刺激的ですね!
そして NHKスペシャル「人体」‘‘脳‘’すごいぞ!ひらめきと記憶の正体 では、ひらめきとデフォルトモードの関係について放送されました。
お笑い芸人の又吉さんが「ひらめいた」と思った時の脳の状態を調べてみたのです。
「ひらめいた」と思った時、又吉さんの脳は、広い領域が一斉に活動している状態になっていました。
実は誰でもそれと同じような脳の状態に近づける、意外な方法があるというのです。それは、「ぼーっと」すること。
「ぼーっと」している時、私たちの脳は決して活動をやめているわけではなく、
脳の広い領域が活性化している「デフォルト・モード・ネットワーク」と呼ばれる不思議な状態にあることが分かってきています。
このネットワークが、無意識のうちに私たちの脳の中に散らばる「記憶の断片」をつなぎ合わせ、
時に思わぬ「ひらめき」を生み出していくのではないか、と今大注目されているのです。
一見すると、脳が怠けていると思いがちな‘‘ぼーっとしている状態’‘はこんな積極的な意味が隠されていたのです。
デルフォルトモードの研究が、様々な病気の治療に役立ち、
病気で苦しんでいる方々の助けになることを祈っています。
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