3Apr
札幌市・恵庭市・千歳市・苫小牧市・北広島市・江別市の公認心理師/臨床心理士によるカウンセリングルーム「なおこ心理相談室」の足立直子です。
日に日に春の日差しが強まってきました。
でもここでちょっと寒い日が挟まるみたいですね。
東京では満開の桜がみられている、とのこと。
北海道ではいつ桜が楽しめますでしょうか。
今日は強迫性障害をもちながら、進学していった事例を皆様と共有したいと思います。
(事例掲載はご本人の承諾を得ております。事例は個人が特定されないように加工してあります)
その子は泣きながら当相談室を訪れました。
涙の理由を聞くと、父親に半ば脅迫されて来談した、とのこと。
お父様もきっと解決策がみつからない切羽詰まった感情にかられて、娘に強く言ったのだとは思いますが、その子にとってはとても怖かったようです。
しばらくするとその子も気持ちが落ち着いたようで涙も渇き、少しずつ気持ちをお話してくれました。
強迫性障害との診断で医療機関に通院していること、不登校になった時の状況など。
彼女は毎週カウンセラーの元に来て、カウンセリングを受けたいということで、お約束をすることが出来ました。
彼女の悩みは家庭環境と友人関係についてでした。
特に家庭環境については、不登校状態で家庭にいることが多い彼女にとって悩みの種となっていました。
父は強い物言いが多く、彼女は「怖い」と感じていました。
母は基本的には彼女を守ってくれる、心強い味方でした。
兄については「色々あった」「暴力がある」と言ったのみで、多くを語りたがりませんでした。この兄はもう成人して、家をでていました。
お薬を合わせるプロセスでも彼女は苦労していました。
時に思春期の子にSSRIを使うと自殺衝動が増したり、攻撃的になったりすることがみられることがあるので、慎重投与が必要です。
彼女も慎重に医療機関でSSRIを処方されていましたが、気持ちが不安定になり、攻撃的になってしまう側面が現れてしまいました。
家族に暴力を働いてしまいそうだ、とカウンセラーに話してくれて、暴力に至るまでにいかずに未然に対処することができました。
彼女は‘自分のことを正直に話してくれる’というポジティブな性質をもっていました。
そのためにカウンセリングも進みましたし、望ましくない行動に至ることを未然に防ぐこともできたのです。
これはとても大切な性質ですが、なかなかできないことだと思います。
やはりカウンセラーの前でも、自分をよく見せたいという気持ちは誰でもが持つものです。
にもかかわらず、勇気をもって、現状を教えてくれる彼女の勇気に、カウンセラーも頭が下がる思いでした。
カウンセラーも一般的な善悪だけで彼女の話を判断するのではなく、彼女の心に寄り添うことを第一としたカウンセリングをしていきました。
この様なカウンセリングが続く中で、彼女は教室には戻れないまでも、先生に空き教室で勉強を教わることが出来るようになってきました。
忙しい間を縫って教えてくれた先生方にも感謝ですし、彼女の学びに対する積極的な姿勢も素晴らしいものだと思いました。
そして受験を迎え、第一志望の高校に合格することが出来ました。
そこの高校はカウンセリングなどのフォローも手厚く行っているところだったため、彼女はその後は高校のスクールカウンセラーさんにフォローをお願いすることにしました。
何故当相談室でフォローしなかったかというと、彼女の不登校の状態が、中学校の時は完全な不登校だったのですが、少しずつ勉強は学校で出来るようになっていき、希望した高校に入学できたことで、より学校に心が向いていたようだったからです。
そこで少しずつ学校に馴染めるようになるよう、高校でフォローしてもらえるようにしたのです。
こうして彼女は巣立っていきました。
今も彼女が楽しく生活していることを祈って
→ご予約
なおこ心理相談室
公認心理師/臨床心理士 足立直子
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