13Jan
札幌市・恵庭市・千歳市・苫小牧市・北広島市・江別市の公認心理師/臨床心理士によるカウンセリングルーム「なおこ心理相談室」の足立直子です。
昨日、1/12(日)に発達障害の人のイライラとクヨクヨへの対策として、認知行動療法的接近の研修会を受けてきました。
この日の講師は金澤潤一郎先生、私が以前の研修会で「この人の認知行動療法はすごい!」と思った先生で、昨日の研修会も期待が高まりました。
発達障害の人のイライラやクヨクヨというのは頻繁に目にします。
ある対象に対してイライラしたり、クヨクヨと思い悩んでしまう、ということです。
イライラは社会的な損害だけでなく、高血圧や循環器系疾患などの健康的問題が生じます。
クヨクヨは一旦はまりこむと迷宮入りしてしまうことがよくあります。
この問題に認知行動療法的に取り組む、というのが昨日のお題でした。
この研修会での感想は「認知行動療法はクライエント中心療法と重なる部分がある」というものでした。
先生はクライエント中心療法との違いについても説明してくださいましたが、私の感覚だと、非常にクライエント中心療法に似ていると思いました。
まず一つは「間違い指摘反射をやめること」です。
例としては、焦っているクライエントさんに「焦らないで」は禁句、というものです。
・どんなことを焦っているのかしら?
・焦らないとダメと思うほど、一生懸命なんだね。
・焦りを感じてしまうのは辛いね。
・焦ると落ち着かなくなって、気持ちが悪いよね。
・焦ると考えがまとまらなくなって、何をしていいか分からないよね。
以上のようなことをクライエントさんに伝え、受容していくのです。
これはクライエント中心療法にとても似ています。
クライエントさんに取り巻く状況を否定するのではなく、受容して、クライエントさんの状況を明確化して、カウンセラーは分かっているよ、と伝えるのです。
「間違い指摘反射」をやめるためには、以下のことが大切とのことでした。
1.クライエントさんが頑張っていること、すでにできている事を具体的に探す
2.クライエントさんの願いややりたいこと、守りたいことを探して、伝えて(認めて)あげる
3.クライエントさんが嫌がっている事、したくないことを探して、伝える
クライエントさんが大事にしていることを認め、したくないことを明瞭かし、すでにできていることを認めるというのは、クライエント中心療法にも、ソリューションフォーカスドアプローチにも通じるもののように思いました。
そして「承認」が大切、ということでした。
「承認」とは、クライエントさんの行動(社会的に逸脱していても)は文脈の中で当然で、理解可能であると明瞭に伝えること、です。
これはどんな技法でも底流することではないでしょうか。
そしてカウンセラーが問題解決を焦ると、クライエントさんは強く反発する、というのです。
これもその通りだと思います。
急がば回れの精神はカウンセリングにおいて、重要だと思います。
ここで‘社会的に逸脱していても’という但し書きがあります。
これがとても難しいのです。
社会的に認められないことだったり、そうすることでクライエントさん自身が傷つくことであったりすると、ついつい「間違い指摘反射」になってしまい、正論をぶつけてしまいそうになるのです。
ここのところを丁寧にクライエントさんの気持ちをなぞって、クライエントさんが自身の状況に気が付くように、そしてカウンセラーに受容されていることが伝わるように、明瞭化していくことが大切になってくるのです。
どうも認知行動療法というと正解を焦るようなところを感じていましたが、それは間違いで、クライエントさんの気持ち、信念を丁寧に受け止め、明瞭化していくことが大切、ということを再学習でき、とても有意義な時間となりました。
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なおこ心理相談室
公認心理師/臨床心理士 足立直子
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