19Sep
皆様、こんばんは。
札幌市近郊恵庭市にあるカウンセリングルーム「なおこ心理相談室」の臨床心理士の足立直子です。
今日の恵庭はきれいな秋晴れでした。
昼間は暖かでしたが、夜には一気に温度が下がりました。
秋が訪れ始めています。
これから日が落ちるのも早くなりそうです。
さて、今日は過去記事から「物語療法」の世界を、皆様と味わいたいと思います。
「物語療法」とは、
症例を昔話や童話に例えをひいて、分かりやすく解説してくれる精神療法です。
精神科医の大平健先生は、物語が心の薬になるとお考えです。
※ナラティブセラピーとは別の療法です。
今回は、精神科医の大平先生の著書から、「ねむりひめ」の物語を見てみましょう。
「ねむりひめ」
以下がざっくりとした‘あらすじ’です(詳しくはこちら)
この世で人がほしがるすべてのものを愛する姫に与えた王様と妃。
ふたりが外出したときに城の中を見てまわる15歳の姫は、
塔の中で老婆が糸を紡いでいる「つむ」にさわり、指をさして100年の眠りにつきます。
そして王子のキスで、眠りから覚め、めでたく王女と王子は結婚する。
この「ねむりひめ」の物語は、
両親の溢れるような愛情と過剰とも思える保護のもとで育ったある女子高校生の
不登校のケースに役立ちました。
ケースの流れをみてみましょう。
上品で、成績もトップクラスの女子高生の彼女が、風邪をひいて一週間学校を休みました。
そしてそれ以来、不登校に陥ります。本人もなんとかして登校したいのに、
駅まで行くと腹痛に襲われて、家に帰ってこざるを得ないのです。
大平先生はセラピーの中で、彼女たち母娘に「ねむりひめ」のお話を聞かせます。
そして先生は患者さんに「心身症」という病名の診断書を渡しました。
更に春までの数カ月いっさいの勉強を禁じました。
この指示には、以下のような理由があります。
それは、患者さんに「眠り」に入ってもらうためです。
言ってみれば大平先生は13番目の占い女の役を買って出たのです。
その後、彼女は復学し、系列ではない、別の共学の大学に進学したそうです。
患者さんは「眠り」、100年の眠りから覚め、主体的に進路を決めることが出来たのでしょう。
親のできることには限りがあります。
このケースでは、姫を助けるのは、王や妃ではなく、外部からきた王子である必要があった、と解釈できますね。
子どもが自分の人生を歩み出すのは、親の「限り」の地点からなのですね。
ここで、「王様と妃は過保護だ!」→「ケースの親も過保護だ!」という意見が生まれてくるかもしれません。
過保護とは、子どもの望まないものをたくさん与えること、
子どもの成長に必要なものを与えているのは、過保護とは言わない、という臨床心理学の知恵があります。
ケースの親御さんは、眠り姫に‘必要な’愛情を注いだものと思います。
ただ、もしかすると、それは少々行き過ぎていたのかもしれません。
ここらへんに、学校を休まざるを得ない事情があったのかもしれませんね。
人生のおりおりに、そのつどの自分の物語があると、思っています。
皆様一人一人が
「そのつどの自分の物語」を見つけられますように
そしてそのうちには「生涯にわたる自分の物語」を見つけられますよう願っています。
多くの人に愛されてきた沢山のむかし話には、
自分の人生に当てはまる物語があることと思います。
改めて、自分の物語を見つけてゆくのも自己理解を深める一助ではないでしょうか?
皆様にはどんな物語が当てはまるでしょうか?
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