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なおこ心理相談室BLOG 〜札幌近郊カウンセリングルーム〜

自傷行為について

札幌市近郊恵庭市の臨床心理士/公認心理師によるカウンセリングルーム「なおこ心理相談室」の足立直子です。

今日は自傷行為について皆様と考えていきたいと思います。
皆様は自傷行為と聞いて、何を想像されるでしょうか?
一般的に知られているのはリストカット、オーバードーズ(お薬の大量服薬)といったものでしょうか。
その他にも
・鉛筆や針を腕に刺す
・消しゴムで繰り返し皮膚をこすって、やけどをつくる
・火のついたタバコを皮膚に押し付ける
・自分を叩いたり、頭を壁にぶつけたりする
・治りかけた傷口をこする
などの行為も自傷行為と呼ばれます。

自傷行為は10代の女性に多くみられ、年齢を重ねるにつれて、治まっていく傾向にあります。
女子高校生の7~14%もが自傷行為を一度は経験していると言われ、決して稀なものではありません。
自傷行為は、人目を避けてこっそりおこなわれることが殆どです。
しかし傷を親が発見した、友達に打ち明けたなどで発覚します。
親は子どもの自傷行為を発見すると、混乱し、冷静さを失って叱りつけてしまうことがままあります。
それも親の気持ちとしてはもっともだと思うのですが、自傷行為そのものだけをみるのではなく、その背景の問題に目を向けることが大切になってくるのです。

自傷行為については「気を引くためだ」「本当は死ぬ気などないんだろう」といった誤解がつきまといます。
自分の体に傷をつけるというインパクトのある行為のため、周囲のものはそれを否定的に見てしまうのです。
しかしこのような解釈は間違いであることが多いです。
実際に自傷行為を行っている人は、そうでない人よりも自殺で亡くなる割合がずっと高いのです。
自傷行為による身体のダメージが小さく、それで死ぬ確率が低くとも、それが将来自殺に発展する危険性が低いわけではないので、注意が必要です。
子どもの自傷行為に対して叱りつけたり、真面目に受け取らないなどは、本人を苦境に追い込むことになってしまいます。
自傷行為は、それ自体正しいことではないですが、その子なりの‘SOS’なのです。

当相談室でも自傷行為の相談は多くみられます。
自傷行為のカウンセリングで難しいのは、自傷行為が本人にとって‘やめたい’ものではないことが多いからです。
それは本人なりのストレス発散方法だったり、自己表現だったり、または解離して痛みを感じていなかったりすることがあるからです。
私は本人が自傷行為に至った訳をじっくり聞き、その辛さにそっと寄り添うようにしています。
そして違う方法で自己表現が出来るように考えたり、違うストレス発散方法を一緒に考えていきます。
人によっては、「実際の傷が治る過程が、自分の心の傷が治る過程と重なるんだ」という人もいます。
そのような思いに耳を傾け、その気持ちを受容していきます。
それと共に、自傷行為は自殺にもつながりかねない事態なので、ご家族に集まってもらって、お話をすることもあります。
ご家族には自傷行為の後は優しく手当をしてあげてほしいこと、刃物の管理などをお願いする場合もあります。
また医療機関を受診することも提案させていただくことがあります。
当相談室では、医療機関受診の際には紹介状を無料でお作りしています。
自傷行為はいっぺんにすっきり良くなる、という訳にはいきませんが、一進一退しながら、螺旋(らせん)の歩みで少しずつよくなっていきます。
そして治るころには、もう一回りも二回りも成長した本人の姿があると信じています。
自傷行為が自殺という悲しい結末を迎えないために、心に寄り添い、より質の高いケアを目指していこうと思っております。

→ご予約

なおこ心理相談室
臨床心理士/公認心理師 足立直子

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