13Nov
皆様、こんばんは。
札幌市近郊恵庭市のカウンセリングルーム「なおこ心理相談室」の臨床心理士の足立直子です。
恵庭はみぞれのような冷たい雨が降る季節になりました。
これからの季節、あたたかい家の中に入ると、有難い気持ちになりますね。
北海道は冬に温かい部屋の中でアイスクリームを食べる人が多いのです。
地球環境のことも気になりますが、冬の風物詩です。
さて、今日は社交不安障がいの症状が起こりやすい場面についてみてみたいと思います。
①見知らぬ人や、少し顔見知りの人との会話場面
親や兄弟姉妹などの親しい関係では、緊張感少なく接することが出来ますが、
見知らぬ人や、少し顔見知りの人と接する時により緊張感が高まるといいます。
特に少し顔見知りの人、ずっとこの先も関係が続くような人と接する時に強い緊張・不安を感じるというお話をうかがいます。
②人前でスピーチをする場面
人前でスピーチをする際に、強い緊張から、頭が真っ白になったり、
声が震えたり、汗が出たりします。
人前に立つ機会が増えた時に現れやすいと言われています。
精神科医でミュージシャンの北山修先生が、ご著書の中で、
25歳~30歳くらいまで、ステージに立つと、頭が真っ白になる感じがあった、と述懐されています。
③赤面恐怖
今ではあまり使わない用語ですが、
人前や異性の前などの特定の場面で強く緊張し、顔が赤くなり、そのことを恐れたり恥じたりして、
そのような場面を過剰に意識してしまい、人が集まる場所を避けてしまいがちになります。
④電話の応対
周囲に人がいる中で電話の応対をするときに、強い緊張を感じて、言葉が出なくなったり、不安になったりします。
女性に多く見られ、電話の相手や、応対をみている周囲の人たちからどう思われたかを気にする傾向があります。
⑤会食の場面
食べているところを他人に見られると、緊張して食べられなかったり、
自分の立てる音が気になってのどが詰まってしまったり、
人前で食事をすることを極端に恐れる傾向があります。
摂食障がいの人にも高い割合で、この傾向があるように思います。
この場合も、家族の前では緊張・不安が少なく食べられるようです。
一昔前になりますが、トイレでご飯を食べる若者について話題になりましたね。
その中には少なからずもこの社交不安障がいの患者さんもいらっしゃったのでは、と思います。
面白おかしくニュースにしていましたが、胸が塞いだのを覚えています。
⑥視線を感じる場面
人と目を合わせることに不安・恐怖を感じ、緊張感が高まります。
「見られている」感じが不安・恐怖を高める場合と、
「自分の視線が相手を不快にさせているのでは」と恐れる場合があります。
この傾向が強まると、全てを自分と関係あるものとみてしまう関係念慮に至る場合もあり、
その場合は異なる疾患となる可能性があります。
⑦書き物をする場面
人前で字を書こうとすると、緊張が強まり、手が震えて書くことが難しくなります。
手の震えを止めようとすればするほど、緊張が高まり、震えが増す傾向にあります。
最近では、人に見られていると思うと、パソコンを打ち込む手が震えて、ますます緊張するというタイプも増えつつあります。
社交不安障がいでは、このような場面で様々な症状が現れやすいのですが、
その症状は身体症状として出やすいこともまた特徴の一つです。
声が震える、声が出ない、手足の震えが出る、めまい、動悸、口が渇く、赤面する、汗が出る、吐き気がする、胃のむかつき…
主に交感神経の昂りと言われています。
この症状からはパニック障がいと似ていると思われる方も多いかもしれません。
両者の違いは、パニック障がいが「死」や「精神的におかしくなってしまうこと」に対する強い不安をもち、その症状は発作的であるのに対し、
社交不安障がいでは、発作的ではなく、「人」や「社交場面」に対する強い不安だという点です。
次回は治療法について、みていきたいと思います。
社交不安障がいの方々が社会的に孤立しないで済むように、お祈り申し上げます。
では、次回に。
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