25Jun
当相談室にバラが咲き始めました。この季節はキレイなバラをお楽しみいただけます。
札幌市近郊恵庭市の臨床心理士/公認心理師によるカウンセリングルーム「なおこ心理相談室」の足立直子です。
今日は社交不安症について皆様と考えていきたいと思います。
皆様は、人前でスピーチするときにひどく緊張した経験をお持ちではありませんか?
社交不安症でも、そのような場面でひどく緊張したり、他人とコミュニケーションをとる時に、愚かに見えないか、場に合っていないのでは…というように他人に辱められることに強い不安を感じます。
そして不安を回避するために社交状況を回避したり、耐えたりすることによって、相当な苦痛がある、または生活に重大な支障があるという精神疾患のことを社交不安症といいます。
社交不安症では、他人とコミュニケーションをとる場面では、動悸、下痢、発汗、時にパニック発作といった症状がでることがあります。
<社交不安症とあがり症の違い>
人から注目を集める場面においては、誰しも不安緊張を感じることがあります。
そういう不安緊張を感じやすい人のことをあがり症と呼んだりします。
そして特にあがりやすい人のことをシャイと呼んだりします。
通常はそういった場面に慣れるうちにあがりにくくなるもので、身体的な症状はあまり発現しません。
これに対して社交不安症は、対人場面で過剰な不安や緊張が誘発されるあまり、動悸・震え・吐き気・赤面・発汗などの身体症状が強く発現し、そういった場面にはなかなか慣れないため、対人関係がうまく築けず、集団の中で孤立してしまったり、たとえしなければならないことであっても、対人場面を次第に避けるようになり、日常生活に多大な影響を及ぼす点が異なります。
<社交不安症の人が強い不安を感じる場面>
最も多いのが「見知らぬ人や、少し顔見知りの人との会話」と「人前での発言・スピーチ」です。
次いで、「権威がある人との面談・会話」「会社で電話をとる」「受付で手続きする」「人前で文字を書く」「人前でご飯を食べる」「会食やパーティーに参加する」などです。
<治療法>
社交不安症の治療法としては薬物療法と精神療法があります。
薬物療法
薬物療法では、社交不安症は脳(セロトニン神経系とドーパミン神経系)の機能障害によって発症するのではないかと推測されています。
そのためSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を主に使います。
SSRIが一定濃度になって効くまでの間、ベンゾジアゼピン系抗不安薬を補助薬として使用したり、β遮断薬を震えや動悸、発汗などを抑制するために使用したりする場合もあります。
症状が改善しても、再発を予防するためにしばらくは薬物療法を継続することが大切です。
自己判断で飲み止めずに、医師と相談しながら徐々に減らしていきましょう。
精神療法
認知行動療法、支持的精神療法、洞察的精神療法などを使い分けて不安をコントロールします。
これらの治療法は薬物療法と同じように効果があると言われていますが、患者さんの努力がとても大事になります。
信頼できる臨床心理士/公認心理師と一緒に取り組むことが必要です。
当相談室でも社交不安症の方々がおみえになります。
社交不安症の方の場合、対面でカウンセリングをすることも、緊張を強め、症状を誘発することになりかねません。
そのため、当相談室ではプレイルームで手芸や塗り絵、パズルなどをしながら、リラックスして話が出来るように工夫しています。
最初はプレイルームで話していても、症状が改善し、カウンセリングルームで対面でお話することができるようになる人もおられます。
この疾患では森田療法の‘あるがまま’という考え方も重要になってくるように思います。
症状が出ても、それは仕方がない。症状をとろうとするのではなく、症状がでてもなお、淡々としなければならないことをこなしていく。
そういう姿勢が大切になってくるものと思います。
しかしこれはなかなか大変な道のりであると思います。
そのため臨床心理士/公認心理師はしっかりと患者さんをサポートし、その道のりを同行しなければなりません。
その道のりをしっかり同行できるように、日々研究を重ねていきたいと思います。
なおこ心理相談室
臨床心理士/公認心理師 足立直子
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