23Sep
札幌市・恵庭市・千歳市・苫小牧市・北広島市・江別市の公認心理師/臨床心理士によるカウンセリングルーム「なおこ心理相談室」の足立直子です。
今日は朝から雨降りです。
気温も低く、部屋の中でも寒く、カイロを貼っています。
風邪もはやりそうですね。
皆様、ご自愛くださいね。
今日は身近な人の死を乗り越え、再び生き生きと仕事が出来るまでに至った事例を皆様とみていきたいと思います。
(事例は、個人が特定されないように加工されています。ブログへの事例掲載はご本人の承諾を得ています)
今日の主人公はAさん(30代、女性)です。Aさんは大学卒業後、大手企業に就職しました。
張り切って仕事に取り組んだものの、ケアレスミスがあったり、仕事の優先順位が決められなく、決められた期日を過ぎてしまう、など、仕事はスムーズには進みませんでした。
それでも必死に頑張っていましたが、ある日突然会社に行こうと思うと涙が止まらなくなり、会社に行けなくなってしまいました。
限界を感じ、心療内科を受診したところ、「うつ状態」ということで、1カ月の休職を提案され、休職することになりました。
Aさんは自分の状態を知りたいと、色んな本を読んで勉強しているうちに、もしかしたら自分は発達障害かもしれない、と思い当たりました。
主治医と相談し、心理検査を行い、その結果ADHDであることが判明しました。
Aさんは今まで仕事を行う上で障害になっていたものの姿が分かり、少し肩の荷がおりました。
しかし診断名がついたからといって、仕事がスムーズにいくわけではありません。
Aさんは上司に主治医の診察に同席してもらい、主治医からADHDのこと、うつ状態にあることを説明してもらいました。
上司はAさんの状態をしっかりと理解してくれ、一緒に仕事の仕方を考えてくれました。
ケアレスミスには、見直しをすること、優先順位が決められない時には、重要事項・期日が迫ってきているものを整理して優先順位を決めていく、それでも分からない時には上司と相談する、など対策を考えていきました。
Aさんは1カ月の休職ののちに仕事に復帰しました。
上司はAさんが再び調子を崩さないように、仕事量を考えて仕事をふってくれました。そして何か困っていることはないか、といつも気にかけてくれていました。
上司の助けもあり、Aさんは調子を崩さず、継続して仕事をすることが出来ました。
そんな折、突然上司が脳梗塞で倒れ、亡くなってしまったのです。
あまりに突然のことで、Aさんはそのことを受け入れることが出来ませんでした。
また仕事の仕方についても、上司と相談しながらやっていたので、上司が亡くなってからというもの、相談できる相手を失ってしまいました。
Aさんは上司の死が受け入れられないまま、ただがむしゃらに仕事をしていました。
そのうちに見直しをしてもケアレスミスが増え、仕事の優先順位を考えようと思っても、うまく考えがまとまらなくなっていきました。
Aさんは再び限界を感じ、そこで当相談室に来談されました。
当相談室では具体的にAさんの仕事の優先順位を一緒に考えながら、上司についての思いを共有していきました。
Aさんは今まで上司が亡くなったことについて、誰ともしっかり話が出来ていませんでした。
改めて振り返り、上司がどれだけ自分のために動いてくれていたかを感じ、感謝の気持ちがわいてきました。
上司の後に入った新しい上司を受け入れることが難しかったのですが、それは自分が以前の上司の死を受け入れられていなかったから、であると思い至りました。
そして上司にたいする深い感謝の念とともに、上司の死が受け入れられていきました。
今までは上司一人に仕事を支えてもらってきましたが、Aさんは、職場の皆にADHDであることを告げ、手助けしてもらうことにしました。
職場の皆も快く受け入れてくれ、Aさんに助けの手を差し伸べてくれました。
Aさんは苦手なところは皆に手助けしてもらい、得意分野は率先して引き受けて仕事をしていきました。
こうしてAさんは再び順調に仕事ができるようになっていきました。
今回の事例は発達の課題と共に、大切な人の死の受容という課題が折り重なった事例です。
当相談室では発達の課題に対しては、具体的にサポートすることを心がけ、
大切な人の死の受容に対しては、クライエントさんが自分の内面を見つめられるように、そして上司との関係を振り返ることが出来るようにサポートしていきました。
今も充実して仕事が出来ていることを祈って。
→ご予約
なおこ心理相談室
公認心理師/臨床心理士 足立直子
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