1Sep
札幌市・恵庭市・千歳市・苫小牧市・北広島市・江別市の公認心理師/臨床心理士によるカウンセリングルーム「なおこ心理相談室」の足立直子です。
今回は自分に自信がもてなかったクライエント様が、自信がもてる仕事を得て、精神的に安定した事例を皆様とみてみたいと思います。
(個人情報は特定されないように、加工しております。事例掲載はご本人の了承を得ております。)
そのクライエント様は40歳代前半で、一見すると穏やかそうに見えました。
年齢の離れたご主人と2人で来談され、その後もご主人もカウンセリングに同席されました。
ご主人はとても穏やかで優しそうな方で、彼女の話を肯定的に聞いてくれる方でした。
彼女は幼い頃からお母さんの顔色を見て育ったということで、まさに‘いい子’そのものでした。
彼女はそんな自分を窮屈に感じ、そして自分に自信がもてないでいる、と話しておられました。
精神衛生も悪く、優しいご主人に辛い言葉を浴びせてしまったり、ご主人に手を挙げてしまうことがある、という状態でした。
彼女は家でじっとしているよりも気分転換になって良いと考え、近所のスーパーでアルバイトをしようと思い、働き始めました。
仕事自体は楽しかったのですが、職場の人間関係が難しく、よりストレスをためてしまう結果になりました。
しかし真面目な彼女は頑張って仕事を続けていましたが、仕事のストレスでご主人に更に辛くあたってしまうようになったために、仕事は辞めることにしました。
カウンセリングでは認知行動療法的アプローチをしていました。
認知行動療法的アプローチでは、自身の自動思考(その時パッと思いついた考え)を見つけ出し、それを支持する思考を考えだし、今度はそれに反する思考を考え、最後により適応的な思考を考えだします。
彼女は自分の自動思考を支持する考えが難しいようで、そこで立ち止まってしまうことがしばしばありました。
反対に自分の意見に反する考えはすぐに思いつくのです。
これは彼女自身が自信をもって自己主張することが出来ないためであると考えられ、それを彼女に伝えると、「そうなんです。自分の主張がなくて、相手の意見を飲み込んでしまうからしんどくなるんだと思うんです」との返答でした。
カウンセラーはアサーションの考え方の一つである「私は〇〇と感じた、という感情は言ってもよい。あなたは〇〇というと争いになりがちなので、それは避ける」ということを伝えると、彼女は「え!自分の気持ちを言っていいんですか!?」ととても驚いておられました。
ご主人は「自分の気持ちを言っていいんだよ。君はそれを飲み込んじゃうよね」と言っておられました。
こうして彼女は自分の自動思考と向き合い、自分の意見をもつトレーニングをしていきました。
そんな折、彼女は新たなお仕事をみつけてきました。
このお仕事だと自分のもっている資格も生かすことができそうだ、ということでした。
彼女もそろそろ働きたい気分でもあったので、働くことにしました。
その職場は人間関係もよく、彼女の資格も大事に扱ってくれる場でした。
彼女は仕事内容も人間関係も満足していました。
そのような状況に身を置くうちに、彼女の精神衛生は良好になり、気分は安定していきました。
ご主人に辛くあたることも少なくなり、自分の気持ちを主張できるようになってきました。
そしてカウンセリングは終結を迎えました。
彼女の努力もさることながら、ご主人がいつも暖かく受け入れてくれたことがこのケースでの基盤となっていました。
そんなご主人と今後も末永く、2人仲良く過ごされることをお祈りいたします。
なおこ心理相談室
公認心理師/臨床心理士 足立直子
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