9Dec
札幌市・恵庭市・千歳市・苫小牧市・北広島市・江別市の公認心理師/臨床心理士によるカウンセリングルーム「なおこ心理相談室」の足立直子です。
この度、沖縄県で12/5~12/7に開催された第60回児童青年精神医学会総会に参加してきました。
この学会は以前から入会したかったのですが、学会員2名からの推薦がないと入会できない学会だったので、私の恩師の児童精神科医の白瀧貞昭元教授に推薦してもらってようやく入れた貴重な学会です。
この学会は心理職だけではなく、精神科医や小児科医の参加も多いのが特徴です。
最近気になるトピックスとして「ゲーム障害」が診断基準に載るようになった、というものがあります。
今回の学会でも「ゲーム障害」が取り上げられていたので、聞いてきました。
ゲーム障害の状態になった子どもたちは、脳から「ゲームをやりなさい」というような指令が出る、といいます。
そのためにゲームを辞めることが出来ないのです。
そのような状態になると睡眠障害が出て、あっという間に昼夜逆転になってしまいます。
この障害は死にもつながることがあり、死因の1位はエコノミークラス症候群です。
同じ姿勢でゲームをし続けるから、血栓が出来てしまうのでしょう。
また骨密度の低下も起こりうる身体症状、ということです。
しかし当の本人は困っていないので、治療には「拒否的」になります。
そのため、まずは身体検査をしよう、と説得して治療の場に連れてくることが必要になります。
うつ病の併発率も高く、見過ごすことは出来ない症状です。
治療では、ちょっとでもゲーム以外にしたいことがあれば、それを援助する形で行われます。
6週間~8週間の入院治療も考慮されることがあるそうです。
また摂食障害についての講演では、家族療法が効果的、という意見が活発に出されました。
お父さんが治療の場に現れると、治癒する可能性が高まるということでした。
当相談室では‘家族療法’と銘打ってのカウンセリングは行っていません。
しかし家族でカウンセリングにお越しくださることは多いので、この‘家族療法’をいかに自分の臨床スタイルに落とし込むかを、これから研究を重ねていきたいと思っております。
また質疑応答の中で、海外では乳児の段階で脳機能画像を元に自閉スペクトラム症を診断する試みが行われている、と発表がありました。
まだ日本で臨床レベルでは行われていないのですが、もしかすると今後は脳機能画像を元に自閉スペクトラム症を診断することが行われるようになるかもしれません。
しかし私の危惧なのですが、脳機能画像では問題ないと言われる‘困っている’人たちが診断の谷間に落ちて、ケアされないことにならないようにしたい、と思います。
自閉スペクトラム症は‘スペクトラム’なので、それのどこで障害か障害でないかを線引きするのか、そして診断されないけれど、その傾向にある人たちへのケアはどうするのか、そこらへんも同時に考えられると良いのかな、と思いました。
沖縄はあいにくの雨でしたが、熱のこもった議論がなされ、知識を刺激され、有意義な時間を過ごせました。
また今後のカウンセリングに、生かしていけるように頑張っていきたいと思います。
→ご予約
なおこ心理相談室
公認心理師/臨床心理士 足立直子
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