22Aug
札幌市・恵庭市・千歳市・苫小牧市・北広島市・江別市の公認心理師/臨床心理士によるカウンセリングルーム「なおこ心理相談室」の足立直子です。
今日は高校生活の再スタートを切った事例について皆様とみていきたいと思います。
(個人情報は特定されないように、加工してあります。事例掲載はご本人の了承を得ております。)
その高校1年生の男の子は、お母さんと一緒に来談されました。
そして当相談室に来談されたときには、非常に混乱しているようにみえました。
詳しくお話を聞くと、その子は道外の高校に通い、寮生活をしていましたが、
学校が非常に厳しく…というよりも先生たちは乱暴な言葉を使い、生徒たちは怯えているか、非常に反抗的になっているか、というような状態である、とのことでした。
そんな状況で、その子は怯えきっており、不登校の状態にありました。
不登校状態になり、一時的に北海道の実家に帰省していたのです。
お母さんは、その子に問題があるから不登校になったのだと言い、登校させようと必死でした。
その頃には、彼は夜の睡眠も満足にとれなくなっていましたので、カウンセラーはまずは心療内科への受診を促しました。
心療内科の先生には、まずは親子でしっかり話し合ってみることを勧められ、当相談室への来談を促されました。
当相談室では、お母さんとその子と一緒に数回カウンセリングを行いました。
カウンセラーは彼が怯え切っていることと、非常に不安を示していることを心配し、転校も視野に入れた方がよいのではないか、と助言しました。
彼は転校を希望していましたが、お母さんは頑なに登校することを勧めました。
これはお母さんの気持ちを聞いてみないといけないと思い、お母さんのカウンセリングを行ったところ、お母さんは彼と一緒に暮らすことに自信がないことが分かりました。
お母さんは彼にそうはっきりとは言いませんでしたが、彼はどこかで察知していたのでしょうか。
彼は自分で寮生活もできる高校を転校先に考え始めました。
お母さんも寮生活をするなら…と考えを変え始めていました。
そしてカウンセリングを重ねるにつれ、お互いに譲歩した結果、道内で寮生活が出来る高校に転校することに決まりました。
彼はもともとエネルギーのある子で、そう決まると、早々と手続きをし、転校準備を勧めました。
転校先の学校に見学にも行き、寮母さんがとても優しい人だと安心した様子でした。
彼は転校し、スムーズに登校し始めました。
いわゆる‘ヤンキー’と呼ばれる生徒も多い学校でしたが、「ヤンキーって意外と優しいんだよ」と言い、‘ヤンキー’の生徒とも仲良くやっている様子でした。
転校後は、長期休みに実家に帰省した時に当相談室に来談されていました。
その時々で、ショッキングなことがあった時にはそのことを話したり、初めてのアルバイトをどうしようか一緒に考えたり、高校の後の進路はどうしようか話し合ったり…高校生ならではのテーマを話し合いました。
そして徐々に当相談室に来談しなくても済むようになり、終結を迎えました。
今でも彼が元気にやっている姿が目に浮かびます。
子どもを支えることを考える時、家族を支えるという視点も時には大切です。
家族の対話を促すような面接が出来るように、日々研究を進めていきたいと思います。
なおこ心理相談室
公認心理師/臨床心理士 足立直子
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