13Aug
皆さま、こんばんは。
札幌市近郊恵庭市の臨床心理士によるカウンセリングルーム「なおこ心理相談室」の臨床心理士の足立直子です。
今日は最近読んでしみじみ感動した「大家さんと僕」矢部太郎(作)について雑感を記します。
「大家さんと僕」は発行された当時から読みたいと思っていた作品ですが、ついに最近読む機会に恵まれました。
そのため、期待感も高かったのですが、予想以上の空気感に感動しました。
糸井重里さんが「この時間が永遠のように思えてくる」と感想を述べておられましたが、
まさに大家さんと僕のほのぼのとした時間が永遠に続くように思えます。
それだからこそ、大家さんが入院された話では、ドキッとさせられました。
大家さんがお年であることからも、そんなに残された時間が長くないことが切なく思えます。
でもだからこそ、大家さんとの時間が大切で、永遠に感じるのかもしれません。
作者の矢部太郎さんは、この作品で手塚治虫文化賞を受賞されました。
その贈呈式の受賞スピーチで、以下のようにおっしゃっております。
大家さんがいつも「矢部さんはいいわね、まだまだお若くて何でもできて。これからが楽しみですね」
と言ってくださっていたのですね。ご飯を食べていても、散歩をしていても、ずっといつも言ってくださるので、
本当に若いような気がしてきて、本当に何でもできるような気がしてきて…。
大家さんはいつも矢部さんの可能性を支持し、結果的に矢部さんを元気づけ、矢部さんはなんでもできるような気がしてきた。
誰かに全面的に支持してもらった時、人はその可能性を開花させることができるのでしょうね。
ちょっと思い浮かんだのがピグマリオン効果のことです。
ピグマリオン効果とは、教育心理学における用語なのですが、教師の期待によって学習者の成績が向上することを指します。
これによると、成績が向上した原因としては、教師が子供たちに対して、期待のこもったまなざしを向け、
子どもたちは教師に期待されていることを意識するため、成績が向上した、とされています。
こういったポジティブな期待を大家さんは‘僕’に向けてくれていたのですね。
こんな心理学用語でこの素敵な世界を語ることはできません。
この大家さんと僕のワールドをどうぞ皆さま、ゆっくり味わってみてください。
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