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境界例(境界性パーソナリティー障がい)考察@秋田巌先生

札幌市・恵庭市・千歳市・苫小牧市・北広島市・江別市の公認心理師/臨床心理士によるカウンセリングルーム「なおこ心理相談室」の足立直子です。

今日は雨雲の隙間から日差しが差しています。
ふとすると雨が降りそうなお天気です。
ずいぶん寒くなり、朝晩ストーブが必要です。

今日は境界例(境界性パーソナリティ障がい)について感銘を受けた考察を皆様と共有したいと思います。
京都文教大学の臨床心理学部教授で精神科医の秋田巌先生の考察です。

先生は境界性パーソナリティ障がい(以下、先生の記述どおりに‘境界例’と記します)について「堤防・城壁論」という概念をつくっておられます。

以下「堤防・城壁論」という切り口にしたがって、境界例の患者さんの心について考えてみましょう。

先生は、患者さん(たぶん境界例以外も)の心を‘街並み’に例えています。
ちょっと頭の中で想像してみてください。街には、いろいろな家や店や公園などがあります。
先生は境界例の患者さんの‘街並み’は、店構えも個性的で売られている品々もおもしろく、「上等」「むしろ魅力的」だと言っておられます。

ただ、境界例の患者さんの街並みは、「堤防」が弱く、少し川の水量が増すと、容易に決壊してしまいがちだ、と例えておられます。
また、街の壁も含めた「城壁」が弱く、大した敵でなくても、もろくも「守り」が壊されてしまい、街並みが被害を受ける、と言います。
そしてこの「堤防」「城壁」が決壊した時に、‘行動化’が起きる、と考察しておられます。

「堤防」(ないし「城壁」)が破られ、街が水浸しになっている(または敵に攻め入られている)状態、その状態を「行動化」の時の状態だ、と先生は言います。

街が水浸しになったことのストレスで、もともと弱い堤防・城壁がさらに脆弱になる、そしてやけくそになって「もういいや」とばかりに自分で残りの部分を突き崩す。

行動化としてリストカットや大量服薬をするとほんの一時はスッとするのですが、少し時間が経つとたいへん嫌な気分に襲われると、よくお聞きします。
「またやってしまった」「情けないことをした」「もうわけがわからない」というようにただでさえしんどいのに、行動化によってますます混沌へと落ちて行きます。
せっかくの個性的な街並み自体がダメージを受け始めます。
だから治療者は何とかして行動化をやめさせないといけない、と先生はおっしゃいます。

以上のようなお考えの下、秋田先生の境界例の定義は「精神病レベルではなく(もちろん器質的精神病などでもなく)行動化する人」となります。

そして‘境界例’から脱するには、行動化を我慢できるだけの‘堤防力’を身に付ければよい、と言います。
ストレスがかかった時に、グッと我慢して、何とかやり過ごす。そこを治療者は援助していく。
するとグッとこらえるたびに土嚢が積み上がっていく。それを繰り返し、繰り返し、患者さんに伝えていく、とおっしゃっています。

そう簡単には言いますが、行動化するだけの思いを、そう簡単にコントロールできるようになるのは、難しいことでしょう。
たくさんの辛い思いを乗り越えなければならないと思います。
そこを治療者も分かりながら、少しずつ少しずつ一緒に歩を進めていけたら、と思いました。

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なおこ心理相談室
公認心理師/臨床心理士 足立直子

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