22Dec
皆様、こんばんは。
札幌市近郊恵庭市のカウンセリングルーム「なおこ心理相談室」の臨床心理士の足立直子です。
今日は久々に最高気温がプラスになりました。
凍っていた道も少しザクザクになっています。
ちょっと寒さがゆるむと、身体が楽ですね。
さて、今日はギャンブル依存症の治療についてみてみましょう。
精神科医の森山成彬先生は、ギャンブル依存症の患者さん100人に対して、日本で初めての調査を行いました。
その調査で明らかになった患者さんの平均的な姿は、
20歳でギャンブルを始め、28歳で借金をし始めます。
ところが医療機関などに相談するのはその10年余り後の39歳でした。
これがギャンブル依存症の治療の難しいポイントです。
本人は病気という認識に乏しいので、受診が遅れがちなのです。
そのため、周囲の人が依存症の兆候にいち早く気付き、
本人に治療を受けるように勧めることが最初の大事なポイントになります。
調査によると依存症の患者さんがつぎこんだ金額は平均1293万円と、
金額の面だけでもこの病気の深刻さがうかがえます。
家族は何とか家族の力で解決して、患者さんに再出発してほしいと願います。
それも無理からぬことだと思います。
しかしギャンブルに反応しやすくなっているその脳の体質のようなものは、
家族の力だけでは治ることはなく、何かのきっかけでまたギャンブルを求めてしまいます。
家族による借金の肩代わりは、家族の願いとうらはらに、より症状を進行させてしまいます。
それでは、家族はどのように患者さんに接すればよいのでしょうか。
まずは依存症に気がついた家族が、1人で悩まずに、ギャンブル依存症の専門機関(医療機関)や、各地域の精神保健福祉センターや家族の自助グループにつながってください。
そこから治療への道がひらけてきます。
医師や専門家と相談しながら、
患者さん本人が専門機関(医療機関)や専門家に相談できるよう働きかけ、
本人が自助グループに参加できるように勧めてください。
薬物療法は少しずつ開発されてはいますが、
未だ効果的なものはありません。
一生ギャンブルをしない決意をする
ギャンブルをしない生活の中に幸せをみつける
ギャンブルに振り回されない生活に安定を感じる
患者さんに、このような心の変化がみられることが望まれます。
そのような心の変化がみられると、
ギャンブルのために嘘ばかりついて信用を失っていた人間関係が回復していきます。
しかし、たとえば「3年ギャンブルをしなかったのだから、もうしてもいいだろう」という思いは間違いです。
3年やっていなくても、その後に1回やってしまえば、また1からのスタートになります。
しないことを続けること
そのために自助グループが役立ってくれるでしょう。
同じ病をもつ仲間と励まし合うことが大事です。
患者さんの中には、パチンコ店の前の道は通らないなどの工夫をされている方もいます。
仲間から知恵をもらい、仲間に役立つことで、より心豊かな生活を送れるようになるものと思います。
ギャンブル依存症の患者さんやご家族が、安定した幸せを得られますように。
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